中学生の頃、二軒隣に住んでいた同級生のお母さんが、山ぶどうの搾り汁でジュースを作ったと言って私の家に持ってきた。
母と二人でご相伴にあずかり、「美味しいね。」と言いながら二人とも顔が真っ赤になっていたのを思い出した。
密造ワインである。
父は結婚前に胃を壊して酒が飲めなくなったそうだが、噂によると若い頃は焼酎を、一升瓶でラッパ飲みしていたらしい。
母も、すぐ赤くはなるが結構イケるくちで、酒粕で作る甘酒にこっそり焼酎を入れて飲んだりしていた。
そんな両親を持つ私が、酒に興味を持たない訳がない。高校生の頃、私は下宿をしていたのだが、常に部屋には酒瓶が転がっていた。二日酔いがひどくて授業をサボったことも(かなり)ある。よく卒業させてくれたものだと思う。
まあ、それはともかく、当時は本格的なワインなど見たことも聞いたこともないような状況で、もっぱら日本酒かウイスキーを好んで飲んでいたが、近年になって、ワインの価格がぐっと下がり、本場である欧州産のワインが気軽に飲めるようになたので、禁断の世界に足を踏み入れた訳である。
最初は訳も分からずに、手当たり次第に選んでいた(と言えるかどうか)ので、結構当たり外れがあった。しかし、格付けと言うモノを知るに至って、あまり外さなくなった。
実際に厳密に格付けがなされているのはフランスとドイツくらいで、イタリアはワインの歴史も古く、生産量も多い割には以外と格付けが甘い。
最近、非常に評価が高まっているチリやアメリカのワインは殆ど格付けがなされておらず、早いとこ整備してほしいと思う。どうせ飲むなら美味い(自分の口に合う)方がいいに決まっている。
ワインを飲み始めた頃は、甘めのドイツワイン(黒猫のラベルのヤツ)を飲んでいたが、次第に甘さが嫌になり、フランスの白ワインにシフトしていった。
赤ワインにはなかなか手が出なかったが、ある時思い切ってボルドーの2000円くらいのを買って飲んでみた。結構イイ値段だ。
とてもマズくて、飲めたモノではなかった。
と言うより、赤ワインの何たるかを全く知らなかったのだ。未だによくは分からないが、最近になって赤ワインの飲み方だけは勉強した。
簡単である。常温で放っておくことと、栓を抜いてからしばらく放っておくことである。
そんな訳で、最近はワインと言えばと勝手に決めつけている。たまに白ワインを飲むと、ちょっとモノ足りないような気がするのだ。
ところで私はイタリアワインが好きだ。
価格が安くて口に合う。有名なキアンティでも1000円以内で買えるし、800円くらいのDOCワインでも、私好みのヤツがある。
一番好きなのはバローロだが、これはちと高い。ピンからキリまであるが、5~6000円くらいは覚悟しておいた方がよろしい。
赤ワインといえば肉料理というのが定番だが、私はバローロで煮込んだ牛肉料理が好きだ。煮込むために一本丸ごと使ってしまうので、飲むためにもう一本必要になる。肉だって安売りの肉ではワインに負けてしまうので、1kgあたり3~5000円くらいのを使う。たかがワイン一本を飲むために2万円近くかかってしまうのだ。
だから、パーティか何かで、かかった金を回収できるときにしか作れない。その代わり誰が食べてもウマイと言う。この前も丸の内のOLをノックアウトしてやった。
酒飲みは食い物にもウルサイ。
きっとろくな死に方はできないに違いない。